白をベースとした街並み。ところどころ使われている赤や青がとても映えているとても綺麗な街だ。私の隣を歩いているこの男の随分と長い銀色の髪も、この街の白にはねかえされる日光を浴びてキラキラと輝いている。

『スクアーロが忙しいんだからイタリアで十分だったのに』

名前、昔からここに来たがってたじゃねぇかぁ」

ここはギリシャ。エーゲ海に浮かぶ島にいる。ロバが私たち二人の脇を通った。イタリアでも日本でも見慣れないこの光景に思わず笑みがこぼれる。

『最高だよ。思ってた以上に美しい街だね』

たまたま休暇がかぶったので、長居は出来ないが私達は本拠地イタリアを離れてここにいる。

美しい教会もあるし、海もあるし。何よりいつもの殺伐とした空気がないのが一番いい。やはりあっちにいれば、いるだけで神経はピリピリしてしまう。

「でもお前ここに来てやること散歩だけでいいのかぁ?」

スクアーロが私に尋ねた。この人は旅の醍醐味ってものを全くわかっていない。

『ぶらぶらして何かに出会うのがたまらないんだよ。それに何かツアーとか組むと他人もいるでしょ?私はスクアーロと二人で過ごしにここに来たの』

反応がないので、顔を見れば赤くなっているスクアーロ。

『真っ赤だよ』

「うるせぇ!」

スクアーロは右手で握っている私の手を強く握ってそっぽを向く。

今、私達が目指しているのは街を一望できる高いところ。もうすぐ夕暮れだ。空が真っ赤に染まるその時、この街はまた違った美しさを発揮する。スクアーロの顔が平常時の顔色に戻った頃。この階段だらけの街を一望できる場所へたどり着いた。


これだよ。私が見たかったものは。


真っ白だった街は、夕焼けで赤く染まっている。海も燃えるような赤を映している。ああ、何て美しいんだろう。

名前が見せてくれた写真の通りだなぁ」

スクアーロの声に振り向けば、スクアーロの髪や目もどこか赤く染まっていた。それは日頃見慣れた人の血のあの赤ではなくて。

『こんな日が続けばいいなんて言ったら馬鹿げてると思う?』

「まぁヴァリアーは仕事回すやつがいねぇから終わりだろうなぁ」

ククッと笑ったスクアーロの腕に抱きついて笑う。

『それもそうだねぇ』

スクアーロの腕に寄りかかる。死と隣り合わせの私たちにとっての非日常を感じるのは、たまにだからいいのかもしれない。



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